9歳の誕生日の翌日に、母親がいなくなった。 母という大きな存在が欠けた世界に、あのころどうやって折り合いをつけていたのか思い出せない。ただ、父と二人で生きていかなければならないことだけはわかっていた。祖父母の家は遠く離れているし、他に頼る人もいなかった。父は変わらず仕事に行って、夜まで帰ってこない。
そんなときに、メーは僕の前に現れた。 (アリオトvol.4掲載 イラスト/黒部想太)
村谷由香里 - 2019年04月04日