銀河丼TLにただようもの

#銀河ノベル <5>

銀河丼TLにただようもの

#銀河ノベル <5>

生まれた町から逃げるように出てきた。大切だった景色も思い出もすべて残したまま、電車に乗る。
振り切るような速さで車輌は走る。
夜に包まれた駅は何処もよく似ていた。降りるべき駅を知らぬうちに過ぎてしまったのではないかと疑う、仄暗いわたしの顔を車窓が映す。
これから夜は長くなるばかりだろう。夜明けは遠ざかるばかりだろう。何処もよく似た夜の町並みは、一様にわたしを潰すかもしれない。わたしを生んで育てたあの町のように。
ここから先へ進んでも、たとえ折り返したとしても、全てわたしが悪いと踏切が鳴る。

[2017/9/1]

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村谷由香里さんが #銀河ノベル として投稿してくれた短い作品です。